7日目
7:00
起きると体全体が痛い。でも気分はすっきりしている。昨日のハンバーガー屋で食べきれなくて持ち帰ってきたポテトとオリーブでスープを作る。不思議と悪くない味。食事の後、溜め込んでいた洗濯をし持ってきた麻ひもで吊るす。
10:00
オルティージャ島で行ってないところに行こうということになり、島の東側に向かって歩くと、学生や普通に島で生活している人たちがたくさんいる。学生はみんなきれいな格好をしていて、好感が持てる。地図を片手にフラフラ歩いていると保育園らしき建物がある。アキと娘が中をのぞくと、外で遊んでいた先生と子供達が近づいてきた。どうやらみんな黄色人種の子供が珍しいらしく、娘に何か話しかけてくる。娘に「みんなと一緒に遊んでおいで」といって促すが、恥ずかしがって固まっている。アキが「写真をとってもいい?」と聞くと、待ってましたとばかりにみんな寄って来る。建物の中にいた人まで呼んで(笑)全員で記念撮影。「ここに住所を書くから、絶対送ってよ!」と言われる。ここの人は子供も大人も素朴でいいな。
11:00
歩き疲れたからバールで休憩。日本の自動販売機くらいの頻度でバールがあるが、それはここが観光地だからというわけではないらしく、イタリア中にこういった個人経営の店があるらしい。缶コーヒーの代わりに人がいれたエスプレッソを飲む。エスプレッソは大体どこも1ユーロ(¥130くらい)以下の手軽さ。なんていい習慣なんだろう。

12:00
Akiさん達に会えなくなってしまったので、6日分の宿代と鍵をエノテカのエンゾに渡すことに。エンゾの所に行ってその旨説明するが、英語が通じないためたったそれだけのことを説明するにも一苦労。エンゾは娘のことを気に入ってくれたらしく「チャーオ!バンビーナ!チャーオ!」と写真がブレるくらいの笑顔。普段はほとんど初めての人に懐かない娘もエンゾのテンションに押され、拾われてきた猫みたいな声で「ちゃーお」と返事をしている。なかなか微笑ましい光景。
12:30
地球の歩き方に載っていた「ダ・マリアーノ」というレストランでランチをしようと目論むが、どうやら定休日らしくやっていない。残念。途中歩いていると、南国にあるようなきれいな花が咲いていた。日中は長袖のTシャツ1枚で大丈夫だから、シチリアはやっぱり暖かい土地なんだな。歩いていたらまたおじいちゃんに声をかけられる。歩いていても、バスに乗っていても、買い物をしていても「チャーオ!バンビーナ!」だ。娘が照れているのもいじらしくていいのか?
13:00
結局、エンゾの店の前のオープンテラスの気持ちのいいピッツェリアでランチをすることに。野菜のグリル、マルゲリータ、生ハム・アンチョビ・モッツァレラの包みピッツァの3品にビール。野菜はナスとズッキーニとアンディーヴで、味は塩とオリーブオイル。シンプルだけど、グリルされてちょっとスモーキーな野菜はおいしい。マルゲリータも旨かったけど、なぜかバジリコが乗ってなかった。忘れたのか?包みピッツァは生ハムとアンチョビがしょっぱい!ビール飲んでなかったら食えなかっただろうな。最後はカフェ。総合点はまずまずかな。そして、店はかなり暇そうで、ぼーっとしてる店員のやる気の無い姿をカシャリ。昼寝したいんだろうか?自分たちも眠くなったので、娘の昼寝も兼ねて一度宿に戻ることに。



16:00
また外出。今度はオルティージャ島の入口の方に歩いて行ってみる。途中にもの凄く素敵なファサードのリモンチェッロ屋を見つけるが、午後休み中でやっていない。残念。
島の入口付近にあるジューススタンドで休憩。娘は「スッコ・ディ・ペスカ(桃ネクターのようなもの)」。僕とアキは炭酸にレモン果汁を搾っただけの素朴な飲み物。店員のスミ入ってレザボアドッグスにでも出てきそうなお兄さんが素敵な動きで作ってくれる。さすがイタリア男。何かが違う。
19:00
地元の人も通うと評判のシーフードが有名なレストランでディナー。ここは最初から行ってみたいと思っていたけど、ちょっと敷居が高そうでためらっていた店。でもせっかくシチリアまで来たんだと、勇気を出して入ってみる。僕らが2組目の客で、最初の客も夫婦と子供連れなのに少しだけ安心する。カメリエーレもバリッと蝶ネクタイをしていて、動きも優雅。白のハーフボトルを注文したら、この旅で初めてテイスティングを促される。作りおきのアンティパストは取った分だけ加算される仕組みで、豊富な種類に心引かれたが、ぐっと我慢して「インサラータ・ディ・マーレ(魚介のマリネサラダ)」を注文する。今まで食べた中では一番おいしかったが、やっぱりエビがブヨブヨしている。「ブヨブヨじゃなくブリブリしていて欲しいのに!」と思ったが、ひとつ重要なことに気がついた。他の魚介もどこか食感に締まりがないのだ。そしてそれはきっと海流のせいだろう。地中海の温暖で穏やかな波では、僕好みの「身がしまっていて脂が乗った魚」が育ちにくい。それはいいとかいけないとかじゃなく、「そういうもの」なんだ。北海道の魚介と沖縄の魚介が全然違うのと一緒だ。そんな単純なことに気づくのに、ずいぶん時間がかかっちゃったなぁ。でも気づけたのは大きな収穫だった。よくイタリアンとは「地方料理の集合体」だと言われる。その土地で取れたものを塩、オリーブオイル、レモン(または酢)で食べるシンプルな料理。だとすれば、日本のイタリアンがおいしく感じるのは「日本人向けにアレンジされているから」じゃなくて「食べ慣れた日本の食材で作っているから」が正解なんじゃないかな。もちろん例外はあるだろうし、イタリアで食べるものは(当たり前だけど)どれもレベルが高い。それでも結構食べてるのにホームランが出ないのはその辺に理由があるように思える。僕が立てた仮説は本当に正しいのかな。帰るまでに答えが出るのかな。
パスタはウニのペペロンチーノと、魚介とプチトマトのパスタ。ウニの方は期待はずれ。ウニの量が少なくて、味がぼんやりしちゃってる。魚介の方は、カニ・ムール貝・アサリ・マテ貝・エビがたっぷり入ってアルミを外すと磯の香りが「ふわっ」とする演出も見事。うん、旨い!店の奥にはショーケースがあり、大小さまざまな魚介が並んでいる。隣の秤でグラムを計って調理法を決める仕組みなのだろうな。注文したかったけど、日本人の僕らの小さな胃袋じゃ残念だけどもう限界。でもおいしかった。
21:00
気分がよかったからまたエンゾの店で1杯やろうということになる。店は混んでいて、客が自由に外に椅子を持ち出したりしてだらだらやっている(イタリアは法律で公共の場での室内の喫煙が禁止されているからってのもあるようだけど)。エンゾも適当に飲みながら楽しそうに働いている。BGMも50年代くらいのJAZZが流れていて、それがまたいい。調度品とか、装飾とかは実にあっさりしているのだけど、こんなに居心地がいいのはエンゾの人柄なんだろうな。
店の奥にあったワインの樽を撮影させてもらう。イタリア語が出来たらワインや音楽の話がしたかったな。
いろいろあって、シラクーサに戻ってきちゃったけど、エンゾにまた会えたからいっか。




















